ブログやWEBサイトにとどまらず、WEBサービスまで作れてしまうのがWordPressの凄いところではありますが、WEBサービスに使用するサーバーはブログやサイトと同じ感覚で選ぶと必ず失敗してしまうため、独自の視点で検討することが必要になります。

この記事ではWordPressでWEBサービスを作って運営することを想定したうえで選んだレンタルサーバーとサーバー選びで注意すべきポイントを紹介しているので、WordPressを使ってWEBサービスを作りたい方はぜひ参考にしてください。

なぜレンタルサーバーを使うのか

サーバーサービスはレンタルサーバー以外にもクラウドサーバーやVPS、専用サーバーなど、様々なものが存在しますが、あえてレンタルサーバーを紹介する理由は

1.価格が安い
2.管理の手間がかからない
3.専門知識が不要

という3つのメリットがあるためです。

専用サーバーを借りるだけの資金力がある場合は専用サーバーを用意していただいてかまいませんし、VPSやクラウドサーバーを利用するだけの知識と技術力がある場合はそもそもこのような記事は不要である方がほとんどであると考えられますので、ここでは初心者の方でも利用できるレンタルサーバーを紹介します。

捨てるべきサーバー選びの感覚

以下の内容はネット上にあるWordPressのサーバー選びの記事でよく言われていることですが、WEBサービスには全く当てはまりません。

これらはWordPressのもっとも一般的な使い方であるブログやホームページの構築と運営を前提にしているため、仕方ないと言えば仕方ないのですが、それを知らないままに同じ感覚でサーバーを契約すると後悔することになるので、必ず覚えておいてください。

・全然消費しないので、ディスク容量は20GBもあれば十分。

→多数のユーザーが画像やコンテンツをアップロードすることを考えれば全く足りない(投稿サイトやSNSの場合)。

・月額1000円出して借りられるサーバーで十分です。

→全然足りません(笑)。もっとハイスペックなものが必要です。

サーバー選びで注視すること

WEBサービスで使用するレンタルサーバー選びは以下を重視することが重要です。

1.PHP7以上が利用可能

→WordPressを構成するプログラミング言語、PHPのバージョンの話です。7の手前は5.6ですが、安全性と処理速度において7が勝るため、PHP7への対応は必須です。

2.転送量が無制限

→WEBサービスへのアクセス時や利用時に発生する通信の上限量の話です。この記事で紹介するレンタルサーバーは全て無制限ですが、1日ごとの上限の目安が定められている場合もあるため、必ず確認しておきましょう。

3.ディスク容量

→WEBサービスを構成するファイル容量の上限で、これにはブログなどで公開する記事(コンテンツ)のファイルも含まれます。個人運営のブログであれば10GBもあれば十分ではあるものの、ユーザーがコンテンツを投稿したり、プロフィール等に使用する画像を保存したりする各種投稿サイトやSNS、Q&Aサイトなどの「コンテンツの生成とアップロードが行われるサービス」を運営する場合はユーザーが大容量の画像や動画をアップする可能性も考慮して、最低でも100GB用意しておくのが無難です。

4.CPUとメモリ

→サーバーの処理速度にかかわる部分ですが、ほとんどのサービスは詳細な情報を公開していません。基本的に料金が高いサービスやプランであるほどこれらのスペックも高いものとお考え下さい。

次からいよいよレンタルサーバーの紹介に移ります。

WEBサービスに適したレンタルサーバー4選

1.CPI共用サーバー

KDDIが提供するレンタルサーバーで、ディスク容量と転送量は当たり前のように無制限という太っ腹さを持つ、ハイスペックなレンタルサーバーの代表格ともいえるサービスです(※異常な転送量が発生した場合は制限がかかる場合があります)。

月額3800円(税別)で利用できるものの、SSLやバックアップ等の必須機能が有料であるため、実際に必要な利用料はこの記事で紹介するサービスで最も高額になります。

快適なサービス運営を実現するため、資金が許すのであればできるだけ選んでほしいところではありますが、自社へのWordPressの引っ越しを無料で請け負ってくれるサービスが付属するため、資金に余裕がない場合はサービス成長後の乗り換え先とするのもよいでしょう。

2.さくらのレンタルサーバ ビジネスプロ


数あるレンタルサーバー業者の中でも老舗のさくらインターネットが提供するレンタルサーバーの最上位プランで、500GBのディスク容量と1日200GBの転送量(目安)が用意されています(料金は月額4628円)。

ディスクこそHDDであるものの転送容量はよく比較対象にされる後述のエックスサーバーの2倍用意されているため、多くのアクセスが集まるWEBサービスに適しています。

3.エックスサーバー X30




信頼性が非常に高いことで有名なレンタルサーバーで、最上位プランであるX30プランにはSSDを搭載の400GBのディスク容量と1日100GBの転送量(目安)が用意されています。

転送量の上限(目安)桜のレンタルサーバに劣るものの、表示速度や安定性は申し分なく、また、料金も月額3600円と桜のレンタルサーバよりも安いため、あまり資金に余裕がない場合はこちらを利用すればよいでしょう。

4.ロリポップ! エンタープライズプラン


月額2000円で利用できる、この記事で紹介する中では最安価のレンタルサーバーです。

ロリポップ!自体は月額料金が数百円台に設定された、格安の部類に入るレンタルサーバーですが、最上位プランであるエンタープライズプランのみは料金・スペック共に例外であり、SSD搭載の400GBのディスク容量と無制限の転送量を用意しています。

また、WordPressに最適化された独自のキャッシュシステムである「コンテンツキャッシュ」が非常に優秀であり、表示速度は上記の他サービスにも負けず劣らず速いため、資金に余裕が無く、ぎりぎりまでサーバー代を切り詰めたい場合はこちらの利用をお勧めします。

補足:将来的にはレンサバ以外への乗り換えを視野に入れる

ここまでおすすめのレンタルサーバーを紹介してきましたが、ここで紹介したレンタルサーバーは一般的な共用サーバー(1つのサーバーを複数名でシェアするレンタルサーバー)であり、他人の干渉を受ける恐れがある以上、安定性に難があるのは否定でき無いため、サービスが成長してたくさんのユーザーが利用するようになった暁にはレンタルサーバーよりもハイスペックなマネージドクラウドやマネージド専用サーバーへの乗り換えも視野に入れるようにしてください。

この記事では専門知識が無くても利用できるという点でレンタルサーバーをお勧めしましたが、名前に「マネージド」という単語が入っているクラウドサーバー(マネージドクラウド)や専用サーバー(マネージド専用サーバー)であれば他人の干渉を受けない安定性抜群のサーバーを特別な知識や技能なしに利用できるため、必要なリソースを最小限に抑えてWEBサービスを運営したい場合に向いています。

まとめ:ハイスペックなサーバーが不可欠

WordPressでWEBサービスを運営する際に利用すべきレンタルサーバーは「ブログやホームページよりもハイスペックなものが必要である」という事がこの記事の結論です。

難しい設定が不要な分、必ずしも痒い所に手が届くわけではないレンタルサーバーを使ってWEBサービスを運営する際は、余分なコストを「管理費」と割り切って支払うことが必要になります。